アレルゲン免疫療法

通年性アレルギー性鼻炎、花粉症に対するアレルゲン免疫療法について

アレルギーの原因物質を少しずつ長期間かけて体に入れて、アレルギー反応を低下させる治療法です。治療開始から半年以上かけて自覚症状が改善し、抗アレルギー薬などの薬を減量ないし中止できます。国際的にもアレルギー性鼻炎の基本的治療法の一つと認められています。注射による経皮免疫療法と口の中に含む舌下免疫療法があり、当院ではダニ・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎とスギ花粉症に対して行っています。現在日本国内で使用できる3種類の薬剤（ミティキュア、シダキュア、アシテア）の全てを取り扱っています。

アレルゲン免疫療法の優れている点

１）約80%の人で長期寛解（薬なしでもアレルギー症状が軽い状態が長く続く）が得られます。それより率は少ないですが完全寛解（薬を使わなくとも症状が生涯おこらなくなる）も期待できる唯一の治療法です。
２）小児の発育あるいは妊娠に悪影響を及ぼす心配がありません。また内服薬、点鼻薬、手術など他の治療法に悪影響を及ぼすこともありません。

アレルゲン免疫療法の劣っている点

１）治療は通常3年以上継続する必要があります。症状が全くない時期でも治療を継続する必要があり、患者本人の治療継続の意欲が重要です。
２）少なくとも1年以上は継続しないと効果を確認できません。一般の薬物治療の効果は数日から数週間ではっきりするのと比較して非常に長い期間を必要とします。
３）アレルギーの原因物質を体に入れるため、舌下免疫療法では口やのどのかゆみの副作用が生じる方が少なくありません。

アレルゲン免疫療法が適している人

初期治療としては内服薬、点鼻薬の治療が効果、手間、価格など多くの点で優れています。しかし、年単位で考えて長期的に症状を緩和させたい人や、妊娠、仕事、薬の副作用などで続けて薬を使いづらい人では、十分検討に値する治療法です。